ライト兄弟

ライト「弟よ・・・
まだ起きてるかい？弟よ」

レフト「なんだい？兄さん。
まだ起きてるけど、あと5分ほどで
夢の世界へフライトする予定だったさ！」

ライト「それはすまなかった。
ところで、お前のその遺り5分間を使って
俺の悩み事を聞いてはもらえないか？」

レフト「構わないよ？ただし丁度5分だ。
1秒でも過ぎた頃、僕はもう夢の中。いいね？」

ライト「オッケー。感謝するよ。」

レフト「で、どうしたんだい、兄さん？」

ライト「実は最近、せどり作業をする為の
モチベーションが上がらないんだよ」

レフト「モチベーション・・・かい？」

ライト「ああそうだ。モチベーションさ。
たとえば、せどりでは、
仕入れ、梱包、発送って作業があるだろ？
そのどれをやるにも、やる気が起きないんだ」

レフト「ふむ・・・要するに、
兄さんは作業をするために
モチベーションを上げたいと、そう考えてるわけだね？」

ライト「ああ、そのとおりだ」

レフト「僕はモチベーションをカンタンに
上げる方法をいくつか知っている。
その中でも一番確実な方法を兄さんに教えるよ」

ライト「本当かい？頼むよ！」

レフト「じゃあさっそく教えるよ」

ライト「ああ・・・（ドキドキ）」

レフト「兄さんがめんどくさいと思ってる
そのことを”今すぐに始める”ことさ」

ライト「・・・え？」

レフト「何だい？
耳にジャムでも詰まっているのかい？
仕方ないな。いいかい？もう一度言うよ。

兄さんがめんどくさいと思ってる
そのことを”今すぐに始める”ことさ！」

ライト「・・・そんなバカな！
モチベーションが上がってないときに
作業をしろだって？冗談だろ、弟よ？」

レフト「兄さんは本当にピーナツ野郎だな。
今、僕が言ったことの理由を説明するよ。

たとえば・・・兄さんは、
スマホゲームが好きだったよね？」

ライト「・・ああ、スマホゲーは大好きだ
（ピーナツ野郎ってなんだ・・・？）
昔パズ◯ラにはかれこれ50万ほど課金したものさ」

レフト「ゲームを立ち上げた瞬間、
いちばん初めから、楽しかったかい？」

ライト「いいや？
チュートリアルの途中まで退屈で退屈で
そりゃあもう退屈でヤバかったさ。
どれぐらいヤバイって、マジでヤバイ。
もうすでに、ヤバイことがもうヤバイ。」

レフト「（あんたの語彙の方がヤバイぜ）
そうだよね？じゃあいつ頃から兄さんは、
ゲームにどっぷりハマり出したんだい？」

ライト「・・・うん？
そういえばいつからなんだろうな？
ボタンをポチポチするだけのゲームに。

・・・何か、”気づいたらノってきてた”
っていうのが正直なところだな」

レフト「なるほど。
ところで、もう一つ例を出そう。
兄さんは部屋の片付けが好きかい？」

ライト「大っ嫌いだ！（即答）」

レフト「そうだね。兄さんの部屋は
いつも安定の”汚部屋”っぷりをキープしてるからね。

でも、そんな兄さんでも部屋の片付けを
一度でも”何となく”始めたらどうなる？」

ライト「う〜ん・・・
以外と徹底的にやるかも・・な・・・・」

レフト「そうだよね？
たとえば、机の上を台拭きで拭く。
そんな些細な作業でも一つしたら最後、

他にも気になる箇所がいくつも出てきて、
居ても立ってもいられなくなる。
その結果、徹底的に掃除をしてしまうよね？
恐らく誰にでもある経験さ」

ライト「ハハン・・・見えてきたぞ。
弟よ、要するにだ、お前は、

”4の5の言わずさっさとやれ”
”始めればモチベーションは後から付いてくる”

そういうことを言いたいわけだな？」

レフト「人間の脳みそっていうのは本来、
とっても”面倒くさがり”なんだ。

でも、一定のリズムで何かを続けてると
徐々にノってくる性質を持ってるんだよ。

その点スマホゲームは実によく出来てる。
あれは、小気味よく一定のテンポで
ユーザーに画面をタップさせ続けるだろう？

それで本来つまらない画面タップだけの
単調な作業に慣性が伴って、
最終的にはそれを”面白い”と感じるわけさ」

ライト「へえ・・・」

レフト「だいたい始めてから”20分”。
それまでは苦痛で止めたくて仕方がない。

でも、それを過ぎたあたりから、
頼みもしないのに”やる気”が沸き上がってくる。

それが人間の脳みその構造なのさ。

スマホゲームだってチュートリアルは
およそ20分くらいのプレイで終わるものが多い。（らしい）

部屋の掃除だって、
嫌々やっていたのがノってくるのは
20分くらい続けた後から、そんな気がしないかい？」

ライト「むう・・・たしかに・・・」

レフト「そういうことなんだよ。

「モチベーションが〜」「やる気が〜」
なんてモチベーション”待ち”をしていても
残念ながら、それはやって来ない。

”始める⇒やる気が出てくる”
そういう順番がほんらいだからね。

「モチベーションが上がらないから
作業をなかなか始めることができない」
んじゃないんだよ。

「作業をはじめないから、
モチベーションがいつまでも上がらない」
んだ。

まずは20分やってみること。
話はそれからだということだね」

ライト「・・・なるほど！
始めれば”やる気”は勝手に出るのか！！
そいつは良いことを聞いた。ありがとう弟よ！」

レフト「そういうことだ。
・・・ただし、コレには”注意点”があって・・・」

ライト「注意点？作業を始めるときにか？
弟よ、いったいそれは何なんだい？」

レフト「・・・おっと、いけない！
もう、5分が経ってしまったよ。
兄さん。すまない。約束の時間のようさ。
夢の世界への便は待っちゃくれないんだ」

ライト「な、なんだよ・・・気になるな」

レフト「僕が眠りから覚め次第、言うよ。
それまで”注意点”の話はおあずけだ」

ライト「・・・気になるぞ、弟よ。
今、話しておくれよ。頼む！」

レフト「すまないが兄さん。約束は約束だ
今日のところは兄さんも眠ったらどうだい？」

ライト「ここまで説明しておいて、
バラエティ番組よろしく引っ張るだって？
お願いだ。あと5分起きていておくれよ！」

レフト「おやすみ」

ライト「弟よ！このままじゃ寝れないよ！」

レフト「おやすみ。兄さんも眠るんだ」

ライト「弟よ！！」

レフト「うるさい！！ネロ！！！」

ライト「パトラッシュ！！！！」

〜つづく〜